雨の日は世界がおかしくなる──。
梅雨物語(ばいうものがたり) 貴志祐介(きし ゆうすけ)
先月発売の新刊なので、私にしては早い入手📘
収録されているのは下記の3作品です。
・皐月闇
・ぼくとう奇譚
・くさびら
【ちょこっと感想】梅雨物語
はじめに。ホラー作品でトラウマ級に怖いのは小野不由美さんの残穢(ざんえ)なので、他はすべて軽めの読みものだと思ってるぱんぶたです。
今回のみっつのお話もほんのりホラーテイストはあるものの、物語として面白く読めます📖
たぶんネタバレすると思うので、これから読む予定の方はここまで。
■皐月闇
ある雨の日。元教師の俳人、作田慮男(さくた のぶお)の家に元教え子の若い女性、萩原菜央(はぎわら なお)が訪ねてくる。
彼女は、命を絶った双子の兄が残したという一冊の句集を作田に見せ、そこに記された俳句の解釈を依頼してきたのだった。
一つ一つの句を読み解くにつれ、だんだんと不安になる情景が見えてくる。そして隠された秘密が浮かび上がり──。
最後まで読まずとも暗い結末であるのはわかるのですが、わかってもそれが気になってどんどん読んでしまう話。
■ぼくとう奇譚
昭和初期、東京。黒い蝶の夢を見るという男の話。
夜毎奇妙な夢を見る木下美武(きのした よしたけ)のもとへ現れた高名な修験者によれば、その夢に隠された謎を解かなければ命が危ないという。
対策を講じるも、日に日に見る同じ夢の中の世界は様相を変え──。
この本の中でいちばん好きなお話でした!木下は呪われているのですが、果たして呪いを解く事が出来るのかどうなのか、どちらにしてもとても楽しくわくわくしながら読めました。ぱんぶた好みな和風摩訶不思議アドベンチャー😂
■くさびら
軽井沢。奥さんと子供が不在の家で、一人仕事をする杉平進也(すぎひら しんや)。ある日突然、庭に見つけたキノコが輪を描きながら大量発生し、家を埋め尽くしていく。
キノコの生え方に何らかの規則性を感じた杉平は、この怪現象の理由を探ろうとするのだが──。
こちらの話はあまりぱんぶたの好みではなかったのですが、キノコが幻覚だったり、杉平の周囲の人間達の誰が敵で誰が味方なのか?等読みどころはあります。
全体的にそれほど怖くはなく不思議なカンジで、ちょっとミステリっぽい雰囲気です。ので、怖いのが苦手な方でもこちらは大丈夫だと思います。
眠れない夜に是非。