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【ちょこっと感想】ちぎれた鎖と光の切れ端

読み終わりました…ッ!📖
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ちぎれた鎖と光の切れ端 荒木あかね (講談社)

 

とても面白かったです!

特殊設定ものの前作品(デビュー作)も良かったですが、今作の方が更に好きでした!!

今回は現在と同じ時間軸。私の好きなクローズド・サークルものの第一部と、その3年後、主人公や登場人物も変わり大阪で連続殺人事件が起こる第二部との、二部構成になっています。

 

あらすじ的なもの

九州の無人島にある海上コテージで、男女仲良しグループ+管理人の計8人が、7日間のキャンプ中に次々と殺されていく。現代版十角館の殺人みたいでわくわく。

 

第一部 登場人物

樋藤清嗣(ひとう きよつぐ) 第一部の主人公。

大石有(おおいし ゆう) 樋藤と同い年。

浦井啓司(うらい けいじ) 眼鏡。叔母がコテージの持ち主。

伊志田千晶(いしだ ちあき) 長い黒髪。浦井の弟と付き合っている。

加蘭結子(からん ゆいこ) 小柄。人気商売をしている。

竹内隼介(たけうち しゅんすけ) 坊主頭。

橋本亮馬(はしもと りょうま) 短い金髪。虫嫌い。

久城健太郎(くじょう けんたろう) コテージの管理人。

 

本の帯にもある通り、主人公の「私」こと樋藤が、復讐を遂げるためグループメンバー全員を殺すつもりでいたのですが──樋藤が実行に移すよりも前に、メンバーの一人が死体となって発見される。

さらには第二、第三の被害者が──決まって第一発見者が狙われ、全員舌を切り取られて──発見される。

果たして犯人は何者で、その目的は何なのか!?

 

以下、感想的なものを書きたいと思いますが、ネタバレしますので、ご注意ください⚠

 

第一部。

最初から殺害目的でグループに近づいた樋藤が、表向き仲良くなっていくうち仲間に情が湧き、心の中で彼らを憎んだり良い奴だと認めたり葛藤している様とか、極限下での心理がとても細やかに書かれていてキャラクターが魅力的でした。

第一部の後半、樋藤の一人称が「私」から「俺」にスイッチしたあたりから怒涛の推理合戦がはじまりるのですが…!ゾーンに入った樋藤が語るキレキレの推理が、真相が、真実が、だけどもう日の目を見る事はないのかも知れない……という仄暗いカンジで結末を迎えます。

 

第二部。

ゴミ収集車で大阪市内をまわる22歳の女性職員、横島真莉愛(よこしま まりあ)が主人公。ゴミに出されたバラバラ死体──それも舌を切り取られた──を発見してしまう。

30代半ばの女性刑事、新田如子(にった いくこ)と共に事件の謎に迫っていくのですが、この全く異なるタイプの2人の関係が良いです。

女性というだけで不遇な立場だったり、家庭環境が良いとはいえなかった者同士、相手を思いやる事が出来て、根底は似ているのかも。

また真莉愛と、一緒に住んでいる「兄」との無意識にお互いを支え合っている関係も良いです。

それから第一部で樋藤が、「お人好し」が殺されると言うのですが、一番のお人好しは樋藤お前じゃろがい!と思いました。先輩の仇をとろうとし、結局友人達を殺せず、犯人を憎みこそすれ、唯一理解し言葉をかけるのです。

 

おわりに。

これからは様々な呪いの鎖を切って、複雑な関係の3人で小さな光の欠片をたくさん得て欲しいと思いました。